ロシア軍に支援された分離主義勢力が支配する地域にあるウクライナ東部のドネツク州オレニフカ(Olenivka)の捕虜収容所が2022年7月29日に爆破された。爆破された刑務所に収容されていたウクライナ軍捕虜が殺害された。オレニフカ捕虜収容所とロシア当局は、53人のウクライナ人捕虜が爆発で死亡し、75人が負傷したと公表した。
ロシア軍の捜査官が、殺害されたウクライナ軍捕虜の死体を検死した。その一体は、マリウポルのアゾフスタル製鉄所を守っていたウクライナ軍兵士の23歳のオレクシイ・キシリシン(Oleksii Kisilishin)が殺害された死体であった。ウクライナ人捕虜の恋人のビクトリア・スクリャール(Viktoria Skliar)は、間近に迫ったロシア軍捕虜との交換で、キシリシンが解放された後の生活を暫定的な計画を立てた。キシリシンは7月29日に、ウクライナ東部の分離主義者地域オレニフカで捕虜収容所が爆破された後に、地元当局が公表した。キシリシンの死体は、その他の8体の死体と並んで地面に半裸で横たわっていた。ロシア当局に掲載された犠牲者リストでは、キシリシンは43番目に記載された。国連人権高等弁務官事務所は、オレニフカその他で、囚人が殴打、感電、虐待の報告に懸念を表明した。
26歳で殺害されたキシリシンは、2月24日のロシア軍のウクライナ侵攻の約2週間前に、2016年まで所属したウクライナ国家警備隊の一部であるアゾフ連隊に呼び戻された。キシリシンは、ロシア軍に包囲された都市マリウポルにある最後の砦であるアゾフスタリ製鉄所を防衛したウクライナ人戦闘員であった。キシリシンは、約3カ月に及ぶマリウポリ包囲戦で、アゾフスタル製鉄所に立てこもった。5月16日に、ウクライナ軍のアゾフスタリ製鉄所の最後の守備隊が、ロシア軍に自首して捕獲された。赤十字国際委員会から、キシリシンが捕虜交換に参加するをスクリャールは聞いて約3週間後、彼は殺害された。
ウクライナ当局は、オレニフカ捕虜収容所に収容された数十人のウクライナ軍の囚人の死体の一部を引き取った。専門家がすべての死体を確認する時間がかかり、その中にキシリシンが含まれている確証しない。7月29日の爆発後に、ロシア軍が公開された写真で、スクリャールは恋人キシリシンの入れ墨に気づいた。スクリャールはキシリシンの死体を取り戻したいとすべての涙を流した。ロシア・ウクライナ戦争が勃発する前年の2021年8月24日に、ビクトリア・スクリャールは、恋人オレクシイ・キシリシンと記念の写真を撮影していた。