2003年8月1日に、モロッコ沖に浮かぶスペイン領カナリア諸島のひとつであるフエルテベントゥーラ島の海岸には、アフリカ系移民たちが溺死して横たわった。7月31日に、6人のアフリカ系移民が薄っぺらなボートの座礁により溺死して、他の15人もボートが6マイル沖で転覆して行方不明となった。フエルテベントゥーラ島はカナリア諸島の中でアフリカ沿岸に最も近い。人身売買業者はモロッコ南部の船着き場からこの海岸に向かい、乗客の移民を過積載のボートに詰め込むのが常であった。
スペイン内務省は、モロッコからスペイン沿岸へ泳いで溺死した移民11人の遺体を発見したと発表した。当局者によると、死体はセウタのタラハル海岸で発見された。アフリカ系移民らはモロッコの海岸からスペインへ泳ごうとした。スペインのメディアや人権団体は、海で泳いだアフリカ系移民らに警察が発砲したと報じた。治安警備隊総司令官は、警官らがアフリカ系移民らを阻止するためにゴム弾を使用したと述べて、警備隊が空に発砲したと主張した。
治安部隊の警官がゴム弾、空砲、催涙ガス弾を発射して、セウタのタラハビーチまで泳いで行くアフリカ系移民らを阻止して、そのうち12人が溺死した。発砲は、不安定な浮き輪にしがみつく移民らも含めて、海にいた移民が陸に上陸するのを阻止した。最初は政府代表が、次に治安部隊の長官が否定した。内務大臣は議会で、海上で暴動鎮圧用の装備が実際に使用されたことを認めた。移民の人々を恐怖に陥れ、モロッコの海岸まで泳いで戻らせる意図があった。ゴム弾、実弾と全く同じ音のする空砲、必死に浜辺を探した人々が恐怖とパニックに陥って溺死した。
サハラ以南のアフリカからの移民は、ヨーロッパに到達を目的とした。多くの移民が、モロッコとアルジェリアの国境付近のキャンプ場に滞在した。モロッコに到着すると、安全が確保されずに、 虐待にさらされる。モロッコ警察が移民を殴打し、わずかな財産を奪い、避難所を焼き払い、モロッコから追放した事例を記録している。移民たちの供述ではモロッコでは、サハラ以南のアフリカ人に対する虐待が多発している。モロッコ移民法(Law 2002-2003)の導入は、モロッコにの移民規制の強化を求めるEUの圧力に応えた。