2018年10月2日火曜日

鞍山鉄鉱公司の大石橋マグネサイト鉱山の跡に、虎石溝万人坑を掘り出し、塹壕に膨大な白骨が積み重なっていた。

  主に満州を中心として中国各地に存在する日本人の鉱山や工事現場で使役できず不要となった多数の中国人労働者を生き埋めにした万人坑が存在した。万人は犠牲者の数、坑は生き埋めを示唆して、万人坑と呼称した。日本軍が満州を占領して、中国人市民は南満州鉄道や大連港の荷役、鉱山の坑夫、土木建築、工場から農畜産などの労働者として、満州に中国人を強制連行した。日朝満漢蒙民族の平等繁栄を目指す五族協和は夢想となった。日本の富国のために、民族差別をされて中国人は土地を奪われて、低賃金で苛酷に使役された。虐待や拷問により、中国人労働者は虐殺されて死体が各地で山積みとなった。
 鞍山鉄鉱公司の大石橋マグネサイト鉱山の跡に、虎石溝万人坑があった。掘り出した塹壕には膨大な白骨が積み重なっていた。囚人を強制労働させる監獄も鉱山に設置された。万人坑は、拷問や事故などの死者だけでなく、飢餓や重篤な疾病で労働不能者も、虐殺されて土中に埋められた。監獄や矯正院に、入所した中国人は虐待と虐殺された。埋める土中の代わりに、古井戸にも中国人の死体を遺棄した。朝日新聞による「中国の旅 第2部万人坑」などの連載記事に対して、昭和史研究者らは万人坑から韓国・済州島での女性狩りの慰安婦も虚偽とした。
    中国人による強制労働により、中国から日本に強制連行された約4万人もの中国人が、花岡鉱山鹿島事業所などの約135カ所の事業所で強制労働させられて、約7,000人が虐殺された。日本への強制連行と虐殺は周知の事実である。中国本土における強制連行と強制労働は、犠牲者の実態が特定し難い。日本が中国東北地方に建国した満州国では、1934年から1945年までに徴用され、鉱山などの現場で強制労働させられた中国人は約1,640万人と考察した。割り当てや強制連行により満州国で徴用された犠牲者は約850万人、華北など中国各地から満州国に強制連行された犠牲者は約790万人と想定された。
 各地の事業所に連行された中国人労工は、日本人から長時間の過酷な労働を強制され、栄養失調となり、飢餓と疾病等で、多くが過労死あるいは病死した。膨大な数の犠牲者の死体は、事業所近くの山間地などを人捨て場としての万人坑が形成された。